とろとろ桃のフルーニュ腐りかけ

商業BLの感想とか色々

【聖純少女パラダイム】ふわふわしたかわいい百合に現実のスパイス

 今回はBLではなくGL、いわゆる百合漫画の感想です。

 森島明子先生の『聖純少女パラダイム』を読みました!

 それではサクッとですが感想を。

  かわいい絵柄にテンポよく進んでいくお話で、気軽に読める百合作品だと思います。が、決して読後感があっさりではなく、遠い昔の初恋を思い出すような甘酸っぱい気分にさせてくれました。

 

 この物語には三組の百合カップルが登場するのですが、友情と恋愛のあいだで揺れる子、もっと先の関係に進みたいけど相手の気持ちを考えて悩む子、信じたいけど同性だからこそ簡単に終わってしまいそうで怖いという不安で一度別れる子。ほわほわとしたかわいいイラストで基本は明るい漫画なのに、そういった現実味を帯びた登場人物たちの気持ちを描写することでほどよく身が引き締まっていてとても美味しい。突然グルメリポートみたいになりますが、そんな感じなんです。ものすごく重厚なリアリティがあるわけでも、とことん萌えを追及したかわいいだけの百合漫画でもない。なんというか、砂糖のような甘さにちょっと塩味をきかせたスイーツのような、そんな物語でした。

 

 読み終わって私が思ったのは、「女の子同士でも結局普通の恋愛なんだな」ということです。もちろん同性だからこその悩みもあるのですが、相手を信じたり時には信じられなかったり、好きだったり好きなのに拗ねてみせたり、素直になれなかったり。誰かを好きな気持ちは同性も異性も同じなんだなぁと、当たり前のことをしみじみ実感しました。そういった恋する女の子たちの姿が優しい目線で描かれていて、読み終わったあとふんわりとしたあたたかい気持ちになれました。初めての百合漫画として(私もGL作品を読むのはこれが初なのですが)、とてもおすすめできる作品です。

 

 さて、次回の記事ではいつもの調子に戻りまして、話題の商業BL作品『スニーキーレッド』の感想を書こうと思います!また読んでいただければ嬉しいです。それでは!